前立腺癌腫瘍マーカー PSA F/T比について|青梅市の泌尿器科・内科|東青梅診療所

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前立腺癌腫瘍マーカー PSA F/T比について

PSA F/T比(PSA Free to Total Ratio)は、前立腺から分泌されるタンパク質であるPSA(Prostate-Specific Antigen)の2つの異なる形態であるFree-PSA(フリーPSA)とTotal PSA(総PSA)の割合を示す指標です。これは前立腺がんと前立腺肥大症などの状態を区別するために用いられる重要な情報です。

具体的には、PSA F/T比は以下のように説明できます:

  1. Free-PSA(フリーPSA):前立腺から分泌されたPSAの一部で、血液中に存在するPSAの中でフリー(結合していない)な形態のPSAを指します。通常、前立腺がん細胞から分泌されるPSAはFree-PSAが少なく、前立腺がんの特徴と言えます。

  2. Total PSA(総PSA):前立腺から分泌されたPSA全体の量を指します。これにはFree-PSAだけでなく、他の形態のPSAも含まれます。

PSA F/T比は、これら2つのPSA形態の割合を計算しています。計算式は以下の通りです:

PSA F/T比 = (Free-PSAの量 / Total PSAの量) × 100

この計算により、PSA F/T比は百分率で示され、前立腺がんと前立腺肥大症などの鑑別に役立ちます。具体的な解釈は以下の通りです:

  • PSA F/T比が低い(通常10%未満)場合:前立腺がんの可能性が高い。Free-PSAが少なく、Total PSAに占める比率が低いため。

  • PSA F/T比が高い(通常20%以上)場合:前立腺肥大症や炎症など、前立腺がん以外の原因によるPSA上昇の可能性が高い。Free-PSAが比較的多く、Total PSAに占める比率が高いため。

  • PSA F/T比が10%から20%の間:グレーゾーンであり、前立腺がんか他の原因かを判断するのには不十分。追加の検査(例:前立腺MRI、生検)が必要とされることがあります。