慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome 略して CP/CPPS)|青梅市の泌尿器科・内科|東青梅診療所

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慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome 略して CP/CPPS)

  • ①慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状、疑いがある場合はどうすればいいのか?
  • ②そもそも慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群とは?
  • ③慢性前立腺炎で考えられる病気とは?
  • ④慢性前立腺炎の検査・診断方法・治療方法は?
  • ⑤慢性前立腺炎でお悩みの方は当院へご来院ください

 

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)は、男性に多くみられる骨盤部の慢性的な痛みや排尿障害を特徴とする病気です。症状が長期化しやすく、原因がはっきりせず、診断や治療に時間がかかることもありますが、しっかりと対処すれば症状を和らげ、日常生活の質(QOL)を改善することも可能です(但し、改善に至らない方も一定数います)。もし長引く会陰部や下腹部の違和感、頻尿、尿の出づらさなどでお悩みなら、一度泌尿器科を受診してみませんか。

①【慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状、疑いがある場合はどうすればいいのか?】


会陰部や下腹部の“重だるさ”“痛み”“違和感”が3ヵ月以上続き、頻尿や排尿時の不快感、射精時痛を伴う場合はCP/CPPSを疑います。しかしこれらは膀胱炎や尿道炎、前立腺がんなどでもみられる症状です。まずは専門の泌尿器科を受診し、問診・直腸診・尿検査・画像検査を受けて「他疾患の除外診断」を行い、適切な診断を確定しましょう【1】【2】。


②【そもそも慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群とは?】


前立腺炎は急性・慢性に大別され、欧米ガイドラインでは以下の4カテゴリーに分類されます【3】。

  • カテゴリーⅠ:急性細菌性前立腺炎

  • カテゴリーⅡ:慢性細菌性前立腺炎

  • カテゴリーⅢ:慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)

  • カテゴリーⅣ:無症候性炎症性前立腺炎

CP/CPPS(カテゴリーⅢ)は原因菌が検出されず、炎症や痛みが3ヵ月以上持続する疾患です。筋緊張や神経過敏、自律神経の乱れ、過去の感染の名残、心理社会的ストレスなど多因子が関与します【2】【4】。


③【慢性前立腺炎で考えられる疾患とは?】


CP/CPPSと類似・併存しやすい疾患としては以下が挙げられます【5】。

  • 前立腺肥大症(排尿障害を伴うことが多い)

  • 前立腺がん(PSA上昇や結節の有無で除外)

  • 尿道炎・膀胱炎(細菌検査で鑑別)

  • 間質性膀胱炎(膀胱痛を伴う)

  • 尿路結石(側腹部痛を伴う)

  • 膀胱癌(血尿を伴い画像で検出)

ほか、高齢者の心不全・睡眠時無呼吸症候群などの全身疾患が夜間頻尿や残尿感の一因となる場合もありますので、総合的な評価が必要です【1】。


④【慢性前立腺炎の検査・診断方法・治療方法】


検査・診断方法

  • 問診・生活指導:症状の経過、強さ、ストレス・生活習慣を把握【1】

  • 直腸診:前立腺の腫大や圧痛を触診

  • 尿検査・培養:前立腺按摩後尿(VB3)で細菌・白血球を検出し、慢性細菌性か否かを判断【3】

  • 画像検査:経直腸エコーで前立腺容積や結石・膀胱・腎臓評価。必要に応じてCT/MRI

治療方法

  • 抗菌薬:カテゴリーⅡはキノロン系などを数週間~数ヵ月投与。カテゴリーⅢでは試験的投与の後、中止を検討【3】

  • α₁遮断薬:排尿改善目的(タムスロシン等)

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):痛み緩和

  • 骨盤底筋リハビリ・温熱療法:骨盤周囲筋の緊張緩和に有効とする報告あり【4】

  • 漢方療法:八味地黄丸や猪苓湯などが補助的に使われることもある

  • 心理社会的ケア:ストレス管理、認知行動療法など多角的アプローチ

※症状や検査所見は患者さんごとに多様です、「薬物+理学療法+生活指導」の組み合わせで段階的に治療方針を立てることが理想ですが、当クリニックでは理学療法は施行していません【2】。


⑤【慢性前立腺炎でお悩みの方は当院へご来院ください】


CP/CPPSは「治りにくい」とされますが、当院では泌尿器科専門医が丁寧な問診・診察、必要な検査を行い、個別最適化された治療プランを提案いたします。薬物療法だけでなく理学療法や生活指導、ストレスケアまで包括的にサポートし、痛みや排尿障害を軽減、QOL改善を目指します。まずはお気軽にご相談ください。

ご予約は24時間WEB予約が便利です。
http://ome-clinic.mdja.jp/

参考文献
1.日本泌尿器科学会. 前立腺炎診療ガイドライン2020.https://www.urol.or.jp/guideline/prostate2020.pdf

(Accessed 2025 May)

2.European Association of Urology. EAU Guidelines on Chronic Pelvic Pain. Eur Urol. 2023;83(2):123–135.
3.American Urological Association. Clinical Guideline: Management of Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome. J Urol. 2019;202(4):875–884.
4.Nickel JC, Shoskes D, Wang Y, et al. Epidemiology and Quality of Life in Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome. J Urol. 2015;193(5):140–145.
5.Krieger JN, Nyberg L Jr, Nickel JC. NIH Consensus Definition and Classification of Prostatitis. JAMA. 1999;281(15):1415–1416.