脇腹から背中にかけて激痛があるとき:疑われる病気と受診の目安|青梅市の泌尿器科・内科|東青梅診療所

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脇腹から背中にかけて激痛があるとき:疑われる病気と受診の目安

 

  • ①脇腹や背中に激しい痛みがあるとき、どうすればいいのでしょうか?

  • ②そもそも脇腹~背中の痛みとは?

  • ③脇腹から背中にかけて痛むときに考えられる病気とは?
     └ 泌尿器科的な原因
     └ 内科的・外科的な原因
     └ その他の疾患

  • ④脇腹~背部痛の検査・診断方法と治療法は?
     └ 検査方法
     └ 治療法

  • ⑤脇腹~背部の痛みでお悩みの方は当院へご来院ください

①脇腹や背中に激しい痛みがあるとき、どうすればいいのでしょうか?

脇腹から背中にかけての激痛(側腹部痛)は、腎臓や尿管などの泌尿器系の異常が原因となることが多いですが、消化器・循環器・筋骨格系など他の臓器疾患でもみられます。

**「急な激しい痛み」「吐き気や発熱、血尿がある」「安静にできない」**といった症状を伴う場合、重大な疾患の可能性があるため、速やかに専門医の診察を受ける必要があります。

②そもそも脇腹~背中の痛みとは?

この部位の痛みは、後腹膜臓器(腎臓・尿管など)、あるいは神経や筋肉、皮膚の異常によって起こります。特に尿管が結石で閉塞すると、腎臓内部の圧力が急上昇し、腎臓の被膜が急激に引き伸ばされて、いわゆる「疝痛(せんつう)」が生じます。

また、膵臓や胆嚢なども横隔膜に近く、炎症が背中に放散痛として伝わることがあります。内臓からの痛みは、表面的な皮膚や筋肉の痛みとは異なり、深部からくる鈍い痛みや締め付けるような痛みが特徴です。

③脇腹から背中にかけて痛むときに考えられる病気とは?

泌尿器科的な原因

  • 尿路結石(腎・尿管結石)
     突然の激しい痛み(疝痛発作)が典型で、痛みは背部から脇腹、下腹部、場合によっては陰部へ波及します。吐き気・嘔吐・血尿を伴うことが多く、CTや超音波で診断されます。

  • 腎盂腎炎(じんうじんえん)
     尿路感染が腎臓に広がった状態で、発熱・悪寒・頻尿・排尿痛に加え、片側の背中~脇腹に強い痛み(叩打痛)が現れます。白血球や細菌が尿中に検出され、抗菌薬治療が必要です。

  • 腎腫瘍(腎がん)
     早期には無症状ですが、進行すると脇腹の持続痛や血尿、しこりとして触れる腫瘤が出現することがあります。CTやMRIによる画像診断で見つかり、外科的治療が主です。

内科的・外科的な原因→以下の可能性以外にもありますが、緊急性の高いものを提示しています

  • 胆石症・急性胆嚢炎
     右上腹部の痛みが背中や右肩甲骨に放散し、発熱・悪心を伴うことがあります。食後に悪化することが多く、胆嚢の腫大や炎症が超音波検査で確認されます。

  • 急性膵炎
     みぞおちの痛みが背中へ広がり、嘔吐・腹部膨満感を伴います。アミラーゼやリパーゼなど膵酵素が高値になり、CTで膵臓の炎症の程度を確認します。

  • 大動脈解離
     胸や背中の「裂けるような」激しい痛みが特徴です。血圧異常、意識障害、脈の左右差を伴うことがあり、致命的な疾患で緊急手術を要することもあります。

その他の疾患

  • 筋肉痛・肋骨骨折
     重い物を持ち上げた後や打撲後に、運動で増強する鈍痛がみられます。局所の圧痛が明らかで、レントゲンや触診で診断されます。

  • 帯状疱疹(ヘルペスウイルス感染)
     痛みだけが先行して出現し、数日後に皮膚に水ぶくれ(水疱)が帯状に現れるのが特徴です。神経痛のような焼ける痛みで、抗ウイルス薬の早期投与が推奨されます。

④脇腹~背部痛の検査・診断方法と治療法は?

検査方法

  • 画像検査
     ・CT(特に非造影CT):見落としは少ないが、放射線被ばくが多くなるリスクと、病院に紹介する形になります
     ・腹部超音波検査:当院で施行可能です。ただし、腹部の腸管のガス像などにより十分な観察ができない場合があります。放射線被ばくはありません。
     ・MRI:ある程度疾患が類推できた場合、その疾患の質的な診断目的に試行します。特に悪性腫瘍の精密検査に用いられます

  • 尿検査・尿培養
     血尿、白血球、細菌の有無を確認し、感染症の鑑別や原因菌の同定を行います。

  • 血液検査
     白血球数、CRPなどの炎症反応、腎機能(クレアチニン)、肝機能、膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)などを測定します。

治療法

  • 尿路結石
     NSAIDsなどの鎮痛薬が基本。自然排石を促すα遮断薬を用いることもあります。結石が大きい場合はESWL(体外衝撃波)や尿管鏡手術を行います。

  • 腎盂腎炎
     抗菌薬による治療が基本で、重症例では点滴・入院・尿路ドレナージ(ステントなど)を検討します。

  • 胆嚢炎・胆石症
     絶食・輸液・抗菌薬で炎症を抑え、改善後に胆嚢摘出術を行うことがあります。

  • 急性膵炎
     絶食と補液を中心に、重症例では集中管理が必要。原因が胆石であれば外科的アプローチがが必要な場合があります。

  • 大動脈解離
     血圧管理が最優先で、スタンフォードA型(上行大動脈)では緊急手術、スタンフォードA型(下行動脈)では内科的治療やステント治療を行います。

  • 筋骨格系疾患・帯状疱疹
     原因に応じた鎮痛薬や抗ウイルス薬(帯状疱疹)を用い、適切な保存的治療を行います。

⑤脇腹~背部の痛みでお悩みの方は当院へご来院ください

脇腹から背中にかけての痛みは、軽症の筋肉痛から緊急手術を要する病気まで原因が幅広いため、**「痛みが強い」「症状が急に出た」「熱や血尿がある」**場合には自己判断を避け、医療機関の受診をお勧めします。

東青梅診療所では泌尿器科専門医・救急科専門医のダブルライセンスを持つ院長が、尿路結石や腎盂腎炎を含む幅広い疾患の鑑別・初期対応が可能です。尿検査・血液検査・腹部エコーをその日のうちに行い、必要な場合は専門病院へのご紹介も対応いたします。

「脇腹や背中の激しい痛みで不安」「尿に血が混じった」「急に発熱した」など、気になる症状がある方は、早めにご相談ください。

ご予約は、24時間対応のWeb予約が便利です。
http://ome-clinic.mdja.jp/

 



参考文献(References)
  • National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (NIDDK), USA

  • European Association of Urology (EAU) Guidelines

  • Mayo Clinic

  • Cleveland Clinic

  • Medscape Reference

  • Health Service Executive (HSE), Ireland