PSAが高いといわれたら
PSAとは
PSAは前立腺特異抗原(prostate-specific antigen)の略語で、前立腺の上皮細胞から分泌される蛋白です。その多くは精液中へ分泌され、精液のゲル化に関係しています。その中の微量が血液中にはいり、その数値がPSAとして評価可能となります。健康診断、人間ドック、かかりつけの先生の診察時に、「PSAが高い」と指摘されることがあります。一般的にPSAが高い、と言われる基準値は4ng/mLとされています。また、検診などでは若い方の場合に基準値を低く設定する場合もあります。
PSAが高値となる原因について
PSAが高値となる原因疾患は①前立腺癌、②前立腺肥大症、③前立腺炎などです。また、前立腺への機械的な刺激(性交渉など)でも軽度上昇する場合があります。この中で、もっとも重要な疾患が前立腺癌です。図に示すように、PSAの値が高くなるに従って、前立腺の組織を針で採取して病理所見を確認する前立腺生検によって発見される確率が高くなります。また、同じPSAの値でも、前立腺のサイズが大きい場合には癌が発見される確率が低くなります。
PSAが高い場合の検査について
「PSAが高い」場合にどのような対応が必要でしょうか?上図(泌尿器科学会HPより)のように、PSAの数値上昇により前立腺癌の可能性が上昇します。4ng/mL前後の基準値の場合でも約30%に方に癌が発見されます。まず当院のような、泌尿器科専門の施設を受診していただき、精密検査がさらに必要がどうか相談することが大切です。
外来診察では・・・
一般的には、まずは、外来診察(エコー、直腸診、PSAの再検査、尿検査など)を行います。直腸診では前立腺の腫大・硬い部分があるか(前立腺癌の可能性)などをみます。また超音波検査で前立腺の大きさの測定や形態を観察します。さらに、症状や検尿などで前立腺の炎症、他疾患の有無などを複合的な検査で、更に精査が必要か検討します。癌が疑われるようであれば精密検査(前立腺生検)が勧められ、前立腺肥大症や炎症が考える場合には、その疾患に応じた治療がなされます。放置せず、当院を受診していただくことをおすすめします。