包茎:小児の包茎について
包茎とは
包茎の基本的な理解
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包茎とは何か
包茎とは、包皮が狭いために亀頭が完全に露出できない状態を指します。- 真性包茎:包皮が全くむけない状態。
- 仮性包茎:普段は亀頭が包皮に覆われているが、むくことはできる状態。
生まれてきたばかりの男の子の赤ちゃんはすべて包茎で、これは正常な状態です。生後間もない男児の包皮は亀頭と密着しており、自然にむけるまで時間がかかります。この過程は個人差が大きく、思春期の終わり頃(14~15歳)までに自然にむけることが多いです。
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包皮と亀頭の関係
包皮は外側の皮膚と内側で亀頭に接する部分で構成され、幼少期は亀頭と包皮が密着しています。成長と共にこの密着が解消され、次第に包皮をむくことができるようになります。
包茎の影響
包茎自体は健康に悪影響を及ぼすものではありませんが、以下のような問題が起こることがあります。
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排尿時の包皮のふくらみ
包皮口が狭い場合、排尿時に包皮が風船のようにふくらむことがあります(バルーン現象)。これにより尿が飛び散り、トイレを汚すことがありますが、尿の出が悪くなったり健康に深刻な影響を与えることは非常に稀です。成長とともにこの症状も改善することが多いため、特別な治療は必要ないことがほとんどです。 -
亀頭包皮炎
3歳前後から、包皮や亀頭の先端が赤く腫れて痛がることがあります。これを「亀頭包皮炎」と呼びます。この炎症は、次の方法で治療することができます:- 抗菌薬の内服または外用薬(塗り薬)
- 温浴療法(お湯でおちんちんを洗う)
無理に包皮を剥がそうとする必要はなく、自然に治ることがほとんどです。痛みや炎症を繰り返す場合には、包茎の治療を検討することもあります。
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恥垢(ちこう)
包皮の下に黄色っぽいかたまりが見えることがあります。これを「恥垢」と呼びます。恥垢は、皮膚の新陳代謝により発生し、自然に亀頭と包皮が分離する手助けをします。成長とともに自然に排出されるため、特別なケアは必要ありません。細菌感染のリスクは低く、むしろ自然な分泌物です。 -
尿路感染のリスク
一部の研究によれば、生後6ヶ月までの男児で、包茎の状態にある子どもは、包皮を切除した子どもより尿路感染のリスクが高いという報告もあります。しかし、1歳以上になるとこのリスクは低くなり、手術を行うほどの理由にはなりません。
包茎の治療
症状がない限り、子供の包茎は特別な治療を必要としません。しかし、以下のような場合には治療を考えることがあります。
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ステロイド軟膏を使った治療(包皮翻転)
包皮が狭くてむけにくい場合、ステロイド軟膏を使って包皮を徐々にむく方法があります。具体的には:- 朝晩2回、包皮にステロイド軟膏を薄く塗ります。
- 包皮を手で少しずつむいていき、亀頭を露出させるようにします。
- 1~2週間程度続ける必要があり、徐々に包皮が柔らかくなりむけるようになる可能性があります
- むけた後は、必ず包皮を元に戻すことが重要です。戻さないと「嵌頓(かんとん)包茎」と呼ばれる状態になるリスクがあり、包皮がむくんで戻らなくなることがあります。この場合は緊急の処置が必要です。
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手術療法
稀に、包皮が極端に狭く、排尿や炎症が繰り返される場合には、手術が選択肢になります。
治療の必要性について
子供の包茎は、成長とともに自然に改善することがほとんどです。そのため、症状がない限り、治療を行う必要はありません。
重要ポイント: ほとんどの場合、自然経過で問題が解消されます。むしろ、無理に包皮をむこうとすると、痛みや炎症を引き起こし、かえって子供に負担をかける可能性があります。
結論
- 子供の包茎は通常、成長とともに自然に解消されます。
- 包茎が原因で大きな問題が起こることは稀です。
- 包茎の状態や症状について不安がある場合は、無理に対処せず、まずは医師に相談してください。
- 手術が必要になるケースはごく限られており、ほとんどの場合、ステロイド軟膏などの軽い治療で十分です。
ご両親としては不安になることもあるかもしれませんが、まずはお子さんの成長を見守り、必要があれば医師と一緒に対策を検討していきましょう。
包茎(小児)でお悩みの方は当院へご来院ください
お子さんの包茎について心配な場合、泌尿器科専門医の診察と適切な検査を受けることをお勧めします。東青梅診療所に一度ご相談ください!