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高齢社会・人口減少・医療の未来、テクノロジーの介在が未来をかえる(先日、保険医協会で寄稿した内容です)

[2018.11.14]

 今回の診療報酬改定で、オンライン診療に対する加算がついた。オンライン診療については、医療者の中では賛否両論あるが、今後の医療では、必要不可欠なツールになってくるだろう。オンライン診療のみでなく、テクノロジーの介在が医療には不可欠である。人工知能(以下AI)が発達し、情報通信(ICT)が日々変化していく時代の流れを、医療技術知識の研鑽と同等に追い続けていく必要性が、これからの医療者に求められている。しかし、世を賑わせる話題は、AIにより、人間の仕事が奪われるといった悲観的な話題ばかりが大衆紙に取り沙汰される。AIが進歩することにより、仕事がなくなるのは、ブルーカラー(企業組織に雇用されて働く賃金労働者のうち、製造業、建設業、鉱業などの生産現場で直接に生産工程や現場作業に従事する現業系の労働者をさす)の職業ではなく、我々のようなホワイトカラー(ホワイトカラーは、物の生産に直接にはかかわらない非現業的職種に携わる。具体的には、専門的・技術的職業、中・下級の管理的職業、事務的職業、販売的職業、対人サービス職業などが主体であり各種のシンボルや人間を対象とする知的な精神労働であることが、ホワイトカラーの仕事の特徴である)の職種が淘汰される可能性が高いのではないかとも言われている。医師以外でも、弁護士や、裁判官、検察官、また、会計士、税理士などの職種も、AIがその業務の多くを担うことが可能だろう。公務員の窓口業務が必要なくなる時代は間近である。少なくとも医師の仕事の内容は、現在の診断をくだす業務は、AIに取って代わられる可能性が高い。2016年に、IBMのWatsonが、白血病の難症例を、およそ、2000万の文献を学習し、診断にいたった事は皆さんも御存知の通りである。では、我々医師は必要なくなるのだろうか?おそらく、暫くの間は、AIと患者をつなげる通訳者としての役割として必要である。さらに、精神科医や心療内科などの対話やカウンセリングが主体となる科目は、AIでは置き換わることは難しい。また、外科領域においても、da Vinci などの医療ロボットの技術革新は進歩しているが、すべての手術を、医療ロボットで置き換えることは、不可能である(Pepper君が手術をやるようになったら別であるが)。2020年には第5世代移動通信システム(以下5G)回線が実用化される可能性が高い。5G回線が実用化されれば、医療においても大きな変革が起きる可能性がある。現状では、da Vinciの欠点として、触覚がないことが挙げられるが、5G回線により、力触覚伝送が可能となる。力触覚伝送が可能になれば、遠隔地域や過疎地でも、専門医の高難易度の手術を受けることが可能となる。オンライン診療も日常となり、山間部や過疎地での医療をサポートすることが可能となる。一例として、NTTドコモが、和歌山県立医科大学と協力し、5G回線を活用した遠隔診療の実証試験を、本年2〜3月で行っている。山間部にある国保川上診療所(和歌山県日高川町)と、和歌山県立医科大学地域医療支援センター(和歌山市)を高速通信ネットワークで接続して、約3週間、医師が、4K映像対応のテレビ会議システムや接写カメラ等を用いて高精細な診療映像を共有し、意見交換しながら診療を行った。皮膚科、整形外科、心療内科の5症例についてのみの診療であるが、医師、患者の双方から良好な反応が得られているとの事である。

 では、クリニックの医師の役目はどうなるのであろうか? 2025年問題が迫っている暫くの間は、訪問診療、外来診療含めニーズはある。しかし、その先は、テクノロジーを利用できない医療者は淘汰される可能性があり、現在のような、クリニックそのものの存在意義も問われる時代が来るかもしれない。それでも、僕は楽観的に未来を受け止め、テクノロジーに期待する。未来なんて、誰もわからないし、それに恐れを抱き、歩みを止めることは愚かだ。東京の端っこの診療所であるが、日本の抱える問題点を肌で感じる毎日である。明日も、真摯に医療現場で患者と向き合いたい。Artificial intelligence and robotic concepts. Industrial 4.0 Cyber Physical Systems concept. Double exposure of Robot and Engineer human holding hand with handshake and automate machine background.

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