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帯状疱疹について

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、大半の方が、小児期に感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の後根神経節に潜伏していて、過労やストレス、その他様々な要因で免疫力が低下することにより、ウイルスが再活性化して、帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹の特徴

  • 高齢者では、帯状疱疹による神経痛(帯状疱疹後神経痛)が遷延しやすく、患者さんによっては10年以上神経痛に悩まされることもあります
  • 免疫抑制治療を受けている人やHIV感染者は合併症を併発しやすく重症化することもあるので、水痘・帯状疱疹ワクチンの予防接種を考えましょう(主治医に必ず確認をとってからうけてください)。
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帯状疱疹ワクチンが起きやすい年齢は?

  • 50歳以上での発症頻度が高く、85歳時における生涯の罹患リスクは50%に達する[1]
  •  帯状疱疹後神経痛は文献によりますが、5~30%に合併する可能性があり、著しく生活の質が落ちる可能性があります。
  • 以前は、帯状疱疹予防として生ワクチンが60歳以上へ推奨されてきたが、2020年より本邦でもサブユニットワクチン(Shingrix)が認可されました。
  • 米国では50歳以上への帯状疱疹ワクチンの第1選択薬として、サブユニットワクチン(Shingrix)が推奨されている。
  1. 日本でも同様の力価の生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)があり、2016年3月に“50歳以上のものに対する帯状疱疹の予防“という効能効果が追加された。
  1. 生ワクチンでありステロイド等免疫抑制剤投与中の接種は禁忌である。
  1. サブユニットワクチンも2018年3月に50歳以上の成人を対象とした製造販売承認が得られている。
 
  1. 高齢者における帯状疱疹ワクチンは非常に高い効果を示しており、米国CDCの予防接種諮問機関であるACIPも、サブユニットワクチンが承認された翌年(2018年)から第1選択薬として推奨している。しかし、ワクチンの効果は100%ではない点についても患者には説明しておいた方がよいと思われる(推奨度2)。
  1. 生ワクチン(Oka/Merck VZVワクチン、力価中央値24,600pfu):
    60歳以上の38,501名を対象としたランダム化比較試験(修正ITT解析:同意撤回、接種30日内の帯状疱疹発症)
  1. 帯状疱疹へのワクチン効果61.1%(95%CI:51.1-69.1、5.42 vs 11.12/1000人・年)
  1. 70歳以上に限定55.4%(95%CI:39.9-66.9、7.18 vs 11.50/1000人・年)
  1. 帯状疱疹後神経痛(PHN)への効果66.5%(95%CI:47.5-79.2、0.46 vs 1.38/1000人・年)
  1. 接種部位の局所反応はプラセボよりも多かったが重篤な有害事象には差がなかった。
  1. N=69,916のメタ解析[46]でのワクチン効果(リスク比) 0.49(95%CI:0.43-0.56)
  1. サブユニットワクチン:
    50歳以上および70歳以上を対象としたGlobal Phase 3のランダム化比較試験(2カ月間隔で2回接種)が実施されている。
  1. 50歳以上n=15,411(ZOE-50:[47]):ワクチン効果97.2%(95%CI:93.7-99.0、0.3 vs 9.1/1000人・年)
  1. 70歳以上n=13,900(ZOE-70:[48]):ワクチン効果89.8%(95%CI:84.2-93.7、0.9 vs 9.2/1000人・年)
  1. 2つの研究の70歳以上の参加者16,594名
  1. ワクチン効果91.3%(95%CI:86.8-94.5、0.8 vs 9.3/1000人・年)
  1. 帯状疱疹後神経痛(PHN)への効果88.8%(95%CI:68.7-97.1)
  1. いずれの研究でも、接種部位の局所反応はプラセボよりも多かったが重篤な有害事象には差がなかった。
  1. 接種4年目のワクチン効果もZOE-50:93.1%、ZOE-70:87.9%と良好であった。
  1. PHN以外の帯状疱疹関連合併症への効果:50歳以上93.7%、70歳以上91.6%[49]
  1. 播種性疾患や神経疾患、眼科関連疾患、血管炎など
  1. 追記:非常に高い効果を示しており、米国CDCの予防接種諮問機関であるACIPも第1選択薬として推奨している[50]。効果は高いものの、予防接種を行った患者の中にも帯状疱疹を少数発症している点(ワクチンの効果は100%ではない)についても患者には説明しておいた方がよいと思われる。

参考文献

  1. Herpes Zoster in the Older Adult.
     
著者: Amrita R John, David H Canaday
雑誌名: Infect Dis Clin North Am. 2017 Dec;31(4):811-826. doi: 10.1016/j.idc.2017.07.016.
Abstract/Text Herpes zoster (HZ) is the result of reactivation of latent varicella zoster virus (VZV) and occurs most frequently in older adults. Classically, HZ presents as a unilateral, selflimited, dermatomal rash. Postherpetic neuralgia (PHN) is a common sequela, presenting as severe pain that persists after the rash has resolved. In the elderly, PHN can be debilitating and requires a prompt diagnosis, treatment with antivirals, and adequate pain control. A longer-term pain management strategy is required if PHN occurs. A modestly effective vaccine exists and is recommended for older individuals.

Copyright © 2017 Elsevier Inc. All rights reserved.
PMID 29079160  Infect Dis Clin North Am. 2017 Dec;31(4):811-826. doi:

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